ダイエットをゼロから医学的に学ぶ
実践 ダイエットのストラテジー
基礎コース講義室


              肥満のメカニズム


 肥満がどのように生じるかの話の前に、脂肪が体にとって必要なものなのか不必要なものなのかという話をしましょう。

 脂肪は体にとってなくてはならない構成要素です。からだを構成する最小の単位である細胞の膜を構成しているのは脂質です。脂質がなければ細胞は存在すらできません。細胞が存在しなければ我々ヒトもまた存在できないのです。さらに代謝に関与する副腎皮質ホルモンや甲状腺ホルモン、女性ホルモンは脂質で出来ています。このようにまったく脂肪がないということは生命を維持できないということなのです。

 問題なのは脂肪が過剰に体内に蓄積されるということなのです。

 なぜ脂肪が過剰に蓄積されてしまうのでしょうか?からだにおけるエネルギーの出入りについて考えてみましょう。からだに入ってくるエネルギーは毎日の食事です。そして出て行くエネルギーは運動によって筋肉で消費されるエネルギー、思考によって脳で消費されるエネルギー、そして基礎代謝です。これらのバランスが不均衡になる、つまり出て行くエネルギーよりも入ってくるエネルギーが多い事態となれば行き場のない余分なエネルギーは脂肪という形で蓄積されます。これが積み重なることにより肥満という状態になるのです。

 ダイエットを考えるときにエネルギーの収支について考えることは非常に重要なことなのです。

例えば次のようなエネルギーバランス。
   ダイエット
摂取するエネルギーの方が消費されるエネルギーよりも多いです。現在、肥満であるか、そうでなくとも肥満となるのは時間の問題です。

 では実際に脂肪は体のどこに蓄積するのでしょうか?脂肪は脂肪細胞という細胞の中に蓄積されます。下の写真は脂肪細胞の顕微鏡写真です。幾つものマスが見えますが、そのひとつひとつが脂肪細胞で内部にあるのはすべて脂肪です。脂肪がギッチリ詰まっている細胞だなんてすごいですよね?細胞の核はというと、内部の脂肪に押しやられて外側に移動しています。写真ではちょうど細胞と細胞の間に重なっていて見えにくくなっています。

                     脂肪細胞

脂肪細胞が多く存在するのは皮膚の下や内臓の間などです。ステーキのお肉を想像してください。お肉の縁に脂身と呼ばれる脂肪の層がありますよね?あの部分が皮下脂肪なのです。ちなみに内臓の間の脂肪(内臓脂肪)が過剰に蓄積した状態をメタボリックシンドロームといいます。
           脂肪
     
 

KEY WORDS
  • 脂肪はからだをつくる重要な栄養素である。
  • 肥満=からだのエネルギー収支の不均衡
  • 現代は肥満になりやすい環境である。

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