
驚異の小宇宙『細胞』
私たちの体は60兆個とも言われる細胞からできています。そしてその細胞たちは臓器・組織によってその形態や機能が大きく異なっていて、これを細胞の分化といいます。細胞の分化や細胞の中の構造だけでも分子生物学というひとつの学問が成り立つほどその情報量は膨大でありますので、ここではダイエットに関連する「代謝」という観点についてのみご紹介していこうかと思います。
まずはオーソドックスな細胞の構造を見てみましょう。私達の姿形を決めるのはDNAの情報です。DNAの情報によって背の高さや、顔の形、鼻の高さ、目の一重と二重、髪の毛の色、お酒の強い弱い、病気の成り易さなど、ありとあらゆる個性が決まります。こうしたヒトの設計図とも言えるDNAは細胞の核(A)の中に保管されています。そしてDNAの情報が必要な時には原本を持ち出すのではなくコピーを取って必要な情報だけを持ち出すセキュリティーとなっているため、核の中でとりわけ積極的にコピーを行っている部分を核小体(@)と言います。
体の中である物質をある物質に変化させようとした場合、タンパク質である酵素が必要になります。また、体を形作る皮膚や筋肉もまたタンパク質です。体を構成する上で欠くことのできないタンパク質ですが、元をたどれば細胞で作られているものです。どのようなタンパク質をつくるかの設計図は核の中に保管されていて、必要に応じてコピーされ、コピーされたDNAは小胞体(D)の表面に付着しているリボソーム(B)に結合します。リボソームでDNAの情報を元にタンパク質が合成され、小胞体(D)の中を移動してゴルジ体(E)に移動します。ゴルジ体では合成されたタンパク質を加工したり濃縮したりする工程が行われます。完成したタンパク質はゴルジ体から細胞の外へ分泌されます。
脂肪は悪しきものという先入観がありますが、それは脂肪が過剰なための弊害であって本来は体を構成する立派な材料です。細胞膜(F)は脂肪でつくられているものの代表例です。この脂肪もまた細胞で作られています。脂肪はたんぱく質の合成の場であるリボソームの付着していない滑面小胞体(G)で合成されます。タンパク質とは合成の場が明確に区別されているのですね。滑面小胞体(G)で合成された脂肪はその後、細胞の外へ分泌されて利用されます。
さて、ダイエットに最も関連する代謝ですが、代謝が行われているのは細胞質(J)とミトコンドリア(H)の2か所です。細胞質には様々な代謝に関係する酵素が浮遊していて、酸素を使わない嫌気呼吸と呼ばれる代謝を行っています。嫌気呼吸という代謝は原始的なエネルギーの抽出方法で、効率があまり良くなく1回の反応で生じるエネルギー量は後に述べる好気呼吸の17分の1です。さらに良くないことに代謝の結果、乳酸が生成され疲労の原因ともなります。一方、ミトコンドリアで行われる好気呼吸は高度なエネルギー抽出法で酸素を用いて嫌気呼吸の17倍という莫大なエネルギーを生成することができます。副産物も水と二酸化炭素しか生じませんのでまさに完全燃焼といえますね。ヒトの場合、瞬発力が主体の運動では嫌気呼吸が主なエネルギー供給源となり、持久力が主体の運動では好機呼吸が主なエネルギー供給源となります。


- ヒトの体を構成する細胞の数:60兆個
- 核はDNAの保管箱
- タンパク質はリボソームで合成され、ゴルジ体での加工を経て細胞外に分泌される
- 脂肪は滑面小胞体で合成される
- 代謝の刃:細胞質とミトコンドリア
- 細胞質=嫌気呼吸 ミトコンドリア=好機呼吸
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